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4年間必死だった話とか、キャリアとか、採用とか

特に技術的な話はなく、今年何やったかと「これから」について少し

Nov 19, 2019

11月も終わりに近づき、なんというか哀愁漂うエモく素敵なシーズンに突入してきました。みなさまお元気でしょうか。私はまだ短パンです。個人ブログは全く更新できてないのですが、その代わりに技術的な記事はweb.dev等で執筆してきましたので、今回は特に技術的な話には触れず、今年がんばったことと今後についてエモく綴るだけのそんな本編にしていきたいと思います。会社の意見は一切代表していませんし、ありません。すべて私の個人的な見解です。

前略

実は私は12月でGoogleという会社にまる4年勤めたことになります。あっという間でした。2015年の今頃入社して最初の数週間は緊張しすぎて夜寝れなかったのをよく覚えています。そのスタート地点を考えるとよく4年もやってこれたなと、必死に自分自身を叩き上げてきたなと、なんというか若輩者で恐縮の至なのですが、2019が終わりに向かうにつれて達成感が込み上がってきています。

この3年10ヶ月の間に、多くの方々の助けもあって、プロモーションを2回(今回プロモしました 🎉)、数多くの成功事例に携わらせて頂き、先日は夢でしかなかったChrome Dev Summitという大きなテックカンファレンスでステージに立つことができました。来年も引き続き日本のWebの技術パートナーシップをリードする立場で、色々な事例に関わらせていただくことになるかと思います。お世話になります。

IBMの7年間

私はGoogleに入社する前はIBMという会社で金融系のシステムエンジニアをしていました。特にコンピュータ・サイエンスの学問を修めてるわけでもない、いわゆる「文系」という枠に括られる学生生活を送ってきた私が、技術職に就くことができたのは、日本の学生・制度・就職活動で良かったなと... 賛否あるかもしれませんが、私にはラッキーだったなと、そう思っています。グローバル・ビジネス・サービスのアプリケーション開発部隊に配属され、同部署配属の同期は100名程度、うち文系学部卒は一握りという完全に知識面で遅れをとっている状況から、Java 1.4.2とEclipse Ganymede、そしてExcel 2003を初期装備に、人並みに悔しい思いもしながらなんとか7年間エンジニアとして仕事をさせて頂いたのが、今の私の血であり肉そのものです。

私はエンジニアリングや組織論などというビッグワードに対して意見を言えるような立派な人間ではないので、所謂「あるべき論」は特に持ち合わせていないのですが、経験上、私を育ててくれたのは、多くの協力会社さんであって、NI+CさんやJMASさん、故吉田さんの素晴らしいチーム、数々のプロジェクトでご一緒させて頂いたフリーエンジニアの永井さん、野村さんや野原さんです。なので、今のSIerの構造に対する嫌悪の風潮は、その現場に身をおいた一人として、分かりみが強い一方で、安定的に何年もシステムを保守・更改し続けているいいチームもあるんだよと、結構楽しいものだよと、ここに記したいと思います。内製化はとてもとても素晴らしいものですが。

転職活動とか

そんな私がなぜ転職を決意しかというと、もろもろのプライベートな理由を除くと「自分のキャリアにおいて一度はGoogleに入ってみたかったから」という単純な欲求以外にあまりないのですが、そのくらいの単純な思考しか持ち合わせていないため、実際に採用されるまでには3年... つまり2年連続で選考に落ちて、3年目でやっと入社できたという結構な雑草感が滲み出ています。まー最初受けたときは正直思い返すとまだかなり若かったなとは思いますが。なので、もしGoogleの選考で落ちた方がこれを読まれていたら、私のような何度も受けてやっと入った人間もいるんだよと、まだまだチャンスはあるよと、お伝えしたいです。お祈りメールはショックですけどね。

今書きながら思い出しましたが、初めてデブサミに参加者として参加したときに、CyberAgentの同じくらいの世代の方が堂々とメインステージで素晴らしい講演をされていて、世の中にはすごい人達がたくさんいるんだなと心から感心したのと同時に、なんだか悔しさで心が乱されたのが思い出されます。IBMのようなハード、ミドル、ソフト、アプリと全レイヤー自前でもっていて研修も充実した会社に身を置くと、特段外部の情報収集せずともキャリアは健全に歩めるのですが、デブサミをきっかけに外の世界に関心を持ったのも転職を考えた一つの理由でした。「私もいつかあんなふうに堂々と大勢の人の前で何か伝えられるようになりたい!」...そう思ったし、本当にかっこよかったんですよね。

Googleにやっと入社、そしてgTechへ

IBM時代、私は交渉事や調整、プロジェクト管理などコミュ力・人間的な分野は客観的に見ても得意な方だったのですが、結構ものづくりが好きで、いろんなツール作ったり、手が足りてない機能を一人で実装したり、新しいシステムを設計してプロトタイプ作ったり、けっこうそういう手を動かすのが好きな方でした。なので、Googleを受けるときはソフトウェア・エンジニア(SWE)で受けたいと思っていたのですが、採用担当に「君のバックグラウンドはSWEは向かないからgTechにしたほうがいいよ」と勧められました。

そりゃそうなんですよね。これは個人的なものの見方なのですが、例えばIBMに例えると、DB2WAS、またはAIXIBM Javaなどを実際に開発しているような方々がGoogleのSWEという職種であって、私のようなそれらを使ったカスタム・アプリケーション開発のバックグラウンドが直接的にマッチするかというと、そうではないな、と。もちろん人それぞれなので、一概にこのような例えがハマるわけではないとは思いますし、私の場合は単純にSWEの基準に到底及ばなかったという話でしかないのですが、とにかく私はgTechという組織に入ることになります。そして、結果私にはあっていました。

gTechってなんか響きがかっこよくて私は好きなのですが、一般にはあまり知られてないですよね。どんな組織かというと、Googleの様々なプラットフォームを世界中の人たちに使ってもらえるように技術的なサポートをする部隊です。外資系企業にはよくある、パートナーエンジニア、テクニカルアカウントマネージャー、セールスエンジニアといった職種を抱える組織というとわかりやすいかもしれません。トラブルシューティングなどのサポートよりの仕事をされている方、新しいソリューションを作ってビジネスに貢献するコンサルより方、ツール開発や各種インテグレーションなどエンジニアリング中心のチームなど、けっこうバラエティに富んでいます。みなさん本当に素敵です。

ご参考までに今年YouTubeでgTechについて少し語ったので、是非みてみてください。


広告とかビジネスとか

私はその中でも、ちょうど広告主向けの技術コンサルティング・エンジニアリングのチームが拡大していたので、最初はAdWords動的リマーケティングのチームに配属されます。そうです、今「Web」パフォーマンス界隈でしばしばエンジニアの皆様を悩ませているGoogle Tag Managerとそのタグたちです。そのタグたちを「広告」パフォーマンスを向上させるように工夫しながら実装したり、ツール作ったりする仕事です。正直広告にはあまり興味はなかったのですが、Googleの最初のキャリアが広告のチームで本当によかったと今は思っています。私だけかもしれませんがIBM時代、「コンバージョン」という単語すら聞いたことのなかったので、CVR、CTR、CPA、ROASなどの新たな概念に触れて、Webやアプリのビジネスについて技術面から深く勉強することができたいい時間です。

私は主にJavaでカスタムツール作ったり、JavaScriptでタグの実装したり、AdjustAppsFlyerTUNEなどのアプリ向けSDKとのインテグレーションをやったりしてましたが、まわりはPythonでデータ分析してたり、Cloudの各種APIやML駆使して効率的な広告クリエイティブ作成を自動化したり、なんかみんないろんなことしてました。先日円周率の世界記録を達成した @yuryu さんとかが当時はとなりのチームにいる感じです。

ただもともとWebがすごく好きで、それこそGoogle I/OとかChrome Dev Summitとか昔からミーハーでずっと見てて、@agektmr さんとかむちゃ憧れてたので、今でも「えーじさん、きゃー!」って感じですし、いつかはWebの仕事をしたいなと漠然と思っていました... と悠長なことを言っている暇もなく、Googleはとにかく動きが早いので、gTech内にページスピードとPWAおよびAMPを担当するWebチームがすぐにできることとなります。

ロジックとしては単純で、広告の効果を良くするためには結局はランディングページおよびそれ以降の体験が大事なので、それを手当していこうという流れです。私の当時のマネージャーはシンガポールにいるインド人のイケてるやつだったんですが、彼がAPAC規模でそのチームを担当するとのことで、迷わず手を上げてからというもの、別の台湾人のイケてるマネージャーがそのチームを引き取るというので社内転職したりと、そんな感じで今に至ります。日本でそんなgTech内のWebのチームを立ち上げた感じです。

Webでとにかく必死

もともとGoogleの採用で2回も落ちていますし、苦節三年!って感じの雑草で、Googleにずっと居続けるというイメージがなくて、いつ解雇されても後悔ないようにとにかく必死に何でもやろうと誓った私が憧れのWebの仕事に就けたという話なので、マジで何でもやりました。たぶんパートナー向けのハッカソンとかも含めるとここ2.5年で200社くらいには会いに行っているし、いろんなイベント企画したり登壇したり、憧れのAddy OsmaniPaul IrishPaul Bakausとかとなんとか仕事できないかといろんな仕事作りにいったり(今ではみんな仲良しです)。

Googleの... というか私のチームの好きなところなんですが、あまり何も決まってないんですよね。裁量が無限大でそれに戸惑う人もいるのですが、私は結構合っていて、いろんな仕事を積極的に作りに行きました。マネージャーから仕事の指示されたこととか、一度もありません(あったっけ?)。

でもとにかく必死でしたし、今も必死です。

今年は特に必死

その中でも今年は結構やりきった感はあって、AMP Conf 2019に関わる全ての事柄は今思い返しても目頭が熱くなります。MCは表面的な仕事です。その裏でSigned HTTP Exchangesの事例づくり、CMSとのAMPインテグレーションなど、いろんなプロジェクトをやらせて頂きました。こういう「事例づくり」って何かというと、たとえば、インフルエンシャルな企業に「Signed HTTP Exchanges」やりませんか?って提案しにいくところからはじまり、そんな低レイヤーな技術を単純に「やりませんか?」って役員等の意思決定層の方々に持っていっても場違いなので、デモやビジネスに関連するストーリーを作ったり、いざ実装になったら技術的なサポートやトラブルシューティングしたり、とにかく頭からお尻まで何でもやります。

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もちろんそういった技術を実装してくださるパートナー企業の素晴らしい技術者の方々が最も賛称と脚光を浴びるべきです。本当に素晴らしいです。AMP Confというグローバルなカンファレンスに私の大好きな技術者の方々が2組も登壇できたのは、何事にも例えがたいうれしさがあります。Yahoo! JAPANの大津さん、駒田さん、宗像さんは本当にかっこよかったし、EC-CUBEの清隆さん、SUNDAY SYSTEMSの長沼さんの勇姿は涙がでます。そして、そういった事例の裏に、黒子のように私たちも必死に技術的なサポートをしています(...私はMCで表に派手に出てしまいましたが)。



また、今年はChromeのチームと密に仕事ができたのも本当にうれしかったです。初音ミクのCMが今でも泣けるChrome憧れの私ですから、それはそれはたまったもんじゃありません。特に私はPortalsというあまり社内でも最初は注目されていなかったフィーチャーが結構好きで、W3CのWICGにデモアプリをコントリビュートしたり、それをI/Oで紹介したり、作ったデモがTech Crunchに取り上げられたり最終的には憧れのChrome Dev Summitでセッションを持つまでに至りました。ちょっと今振り返っても、4年前の自分では考えられないです。


私はこのフィーチャーに関して、ユースケースや参照実装をWebデベロッパーとしての視点で考え、CDSでもコンテツ作成を全面的に担当したりなど、いろいろな貢献をしてきましたが、ここでも本来最も脚光を浴びるべきなのはこのような新しいフィーチャーをChromeに実装 & Web標準に貢献している @kinu さんをはじめ、素晴らしいChromeのSWEの方々だったり、プロダクトマネージャーの @KenjiBahauex さんだったりします。本当に素晴らしい方々に囲まれて毎日痺れて、身に余る思いに溺れています。事例づくりでは、はてなの樹生さん、ひとでさん、パスタさん、Yahoo! JAPANの萩野さん、清水さん、関さんをはじめ数多くの素晴らしい技術者、デザイナーの方々と仕事をすることができ、本当に幸せです。ありがとうございました、そして今後とも宜しくお願いいたします。
というか、AMP Conf終わって、もう今年は仕事やらなくていいやというくらいバーンアウトしたのですが、結局年の最後までフル稼働でしたし、すぐまたI/Oの準備はじまるし、仕事が無限にあって面白いですね。

これからと採用の話

そんな感じで感傷にひたりつつ、現在いろいろ2020年のOKRとかなんとかかんとかを調整してたりします。そして早速ですが、チームメンバーを若干1名募集します!
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Googleにある(あったよね?)採用に関して「自分よりも優れている人を採れ」という方針のもと、私も過去に @piropiroanna さんや @sisidovski さんを採用してきました。「まじで俺は不要になるのでは?」と思わせるような優秀な方々ですが、本来私が不要なくらいがチームとGoogleの発展にとってもいいと思うので、引き続き私が気後れするような方に来ていただきたく、ドキドキしていますが、是非とも関心がある方は __Googlerも含めて__ 誰でも応募くださいませ。TwitterのDMも開けてます。Hiring managerは私になります。よろしくお願いいたします。

前述したとおり、あまり何も決まってないチームでいろんなことをやっていますが、もうちょっとブレークダウンすると、「パートナー企業がWebで成功するにあたって提供できる技術的なすべてをやる... というかやろうと思ったらできる」って感じです。なんか総合格闘技みたいなもんで、例えばこれからWeb Bundleを普及させて世の中をよりよい世界にしたいな、というお題があるとすると、
  • Web Bundleって使い方いろいろあるけど、こういうユースケースがありそうだよね。そしてこうこうこういう風に使うとパートナーのビジネスにも貢献できそう。じゃあ、そのストーリーで提案資料作って、A社、B社、C社にあたってみようか? ... という意味ではビジネス開発「的」な仕事なのかもしれません。
  • この会社にWeb Bundle使うんだったら、こんなインテグレーションするよね。だとしたらサンプル実装はこんな感じかな、デモ作って先方のエンジニアの方々とディスカッションして方針きめていこう!ツールも開発して提供するか。 ... という意味ではソリューションエンジニア「的」なのかもしれません。
  • あぁ、なんかこのケースでバグったって!ちょっと見てみるか。わからない。Chromeチームに問い合わせしないといけないな。crbugあげて会話まずは進めます。 ... という意味ではサポートエンジニア「的」なのかもしれません。
  • ようやくリリース!なんか効果もいいみたいだし、Web Bundleの紹介と事例をイベントで話したり、ドキュメントにまとめて他のデベロッパーにもわかりやすいように技術情報をちゃんと整えよう!あとはこの仕様もうちょっと変えられないかプロダクトチームにフィードバックしたほうがいいね。 ... という意味ではデベロッパーアドボケイトやテックライター「的」なのかもしれません。
  • これ、もうちょっとこの技術をスケールする方法ないかな、トレーニングマテリアルつくったり、なんかハッカソン企画したり。パートナー向けにクローズドなプログラム組んでみるか。 ... という意味ではプログラムマネージャー「的」なのかもしれません。
そんな感じです。よくわかりません。上のような活動を英語を使って世界中のGooglerと仕事するので、英語は必須になります。Webのエコシステムとビジネスを技術面からよくしたいと思われる方、また現在MeasurementやAd Techに携わられてる方なども面白いかもしれません。最近はデザインスプリントとかもやってます。

参考になるかはわかりませんが、前述したAMP ConfやCDS、I/O以外で最近の仕事といえば、こんなものがあります(ほんの一部ですが)。
注意点としては、これらの表にでる仕事以外にも、むしろ地に足ついた技術の提案や各種地道なサポートもパートナー企業の成功には欠かせなく、業務の本分として行っています。登壇したり、Chromeの新しいAPIに携わったり、カッティングエッジな記事を書いたりは、特にgTechやうちのチームとして指をくわえて待っていれば降ってくるわけではなくて、今年の私の活動もgTechという大きな組織と歴史でみてもグローバルでも「初!(たぶん)」というチャレンジとして取り組んできたものがたくさんあります。

これらは経験上ゴリゴリに社内営業や調整をして初めてチャンスが訪れるような案件かなと感じていますが、その意味で私はそこらへん得意なので、日本チームはけっこう面白い案件に巡り逢えると思います... が、すべての国で同じようなことができているとは限りません。私は面白い仕事だけをしたいですが、面白くない仕事も数多くあります。でもそういう仕事を面白くなるようにするのも面白いんですけどね。

最後に

キャリアとして、このgTechのような仕事は結構面白いです。日本の企業にあまりない職種かなとも思うのですが、海外スタートアップが日本支社を立ち上げるときとかは必ず募集されていますし、エンジニアの一つのキャリアとして認識されるようになるとうれしいなと思っています。私の専門性を問われると、新しいテクニカルな商材を、短期間で習得して普及させるプロです、って感じでしょうか。

何より技術的な観点から、ビジネスに関われるのはかなり面白いです。「ストラテジー」とか「ビジネス」とかIBM時代は大嫌いな言葉でしたが、Googleに入ってから、Googleの素晴らしく優秀で、謙虚で、前向きな営業組織の方々とご一緒することも多く、見方がだいぶ変わりました。これについてはまたどこかで詳しく話したいです。

私自身もこれからまたSWEを目指したり、プロダクトマネージャーに転向したり、いろんな可能性が考えられますが、今はgTechで幸せです。是非みなさまのキャリアの一つのオプションとしてご検討頂ければと思います。

以上、エモいの失礼しました。草々。


$whoami

Yusuke Utsunomiya (宇都宮 佑亮). Working on the Web Platform but mostly just a big fan of the web and its ecosystem. APAC Manager & Staff Partner Solutions Engineer @Google. Ex Systems Engineer @IBM. Opinions are my own.

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